プロ野球のペナンとレースも 前半戦を終了し、セ･パ両リーグとも大体方向が見えてきた。我等がタイガースは7月12日現在、2位のドランゴンズとは８ゲームの差をつけ、優勝街道をばく進している。一部のタイガース･ファンの愛読者から、この時期になって、何故、V宣言をしないのかとのお叱りを受けているのが実情だ。昨年5月に「タイガースの6月攻勢」と題して”阪神優勝説”をぶち上げたが無残な結果に終わったことが想い出される。
だが、今般、タイガースの星野SDが２度にわたってデイリースポーツ紙上で「タイガース優勝の確率は100％以上。」とV宣言をした。そもそも星野SDはタイガースの
Senior Director という立場でありながら、今頃の時期に外部に向かってV宣言をするのは、明らかに軽挙である。快進撃を続けるタイガースの指揮官が自分でないことの焦りが表面に出たといわざるを得ない。そこで、星野SDに遅れること２日で、私もV宣言の重い腰を上げることにしたい。
星野と岡田
昨年の記事の中で、星野と岡田のリーダーとしての優劣を述べた。一昨年タイガースが優勝したのは星野監督のお陰で、昨年は岡田監督に替わったためにダメ虎に戻った、などと無責任な批評を口にするファンも少なくなかった。そんな連中は現在のタイガースの躍進をどうみているのだろうか。結論を急ごう。今年タイガースが優勝するとしたら（するに決まっているのだが）、それは岡田監督の選手起用によるところが非常に大きい。
星野の選手起用の不思議は、先ず、今岡１番、赤星2番、金本3番という打順にあった。足の遅い今岡をトップバッターにするのは、”奇策”ではあっても”鬼策”ではない。先頭打者で出塁しても盗塁はありえない。赤星の盗塁を助けるために後ろに金本を置くというのも、考えてみれば妙な理屈だ。赤星にしてみれば、誰が打席にいようが、タイミングさえ掴めば何時でも盗塁できるはずだ。更に、星野はエースと４番にこだわったが、1昨年の４番は、浜中・アリアス・桧山の日替わりメニューだった。４番が固定しない打線は１本芯が通らない。
一方、岡田のオーダーの組み方は極めてオーソドックスである。相手ピッチャーの最も嫌がる赤星をトップにもってきて、４番を金本で固定。５番に今岡を置いて残ったランナーを帰すというクリーンアップ打順なのだ。岡田も昨年は２番と３番に人材を得ずに試行錯誤したが、今年は鳥谷とシーツが出てきた。特に、鳥谷は昨年１割台の打率で、藤本を起用しないのは岡田の鳥谷びいきだと批判を浴びた。星野監督なら、鳥谷はとっくに２軍落ちだったに違いない。だが、岡田は鳥谷の素質を見抜き、我慢に我慢を重ねて鳥谷を使い続けた。その結果、今や鳥谷は立派な２番打者として育った。シーツの３番は今年の試みだが、岡田としては将来的には浜中の起用を考えているものと思う。いずれにしろ、今年完成した１番赤星、２番鳥谷、３番シーツ（浜中）、４番金本、５番今岡の打順は猛虎打線・理想のオーダーということができる。
MVPは藤川
さて、今年のタイガース優勝の立役者は誰か。全員野球のタイガースでは、ヒーローを特定するのは決して簡単ではない。打者では、金本、今岡、赤星、鳥谷、矢野。誰もが多くのゲームでヒーローとなった。もし、金本が更に調子をあげて、３冠王のタイトルを取ればMVPに選ばれるだろう。しかし、私は敢えて藤川球児を推したい。中継ぎ投手の宿命で、藤川には勝利もセーブもつかない。だが、１イニングだけを完全に抑える藤川の好投のお陰で勝利した前半戦のゲームは枚挙に暇がない。６回まででリードしていれば、７回には藤川が登板し、相手打者をキリキリまいさせる。それによって、勝利への勢いを加速する。後を引き受けるウィリアムスと久保田の好投も見逃せないが、相手反撃の芽を最初にキッチリと摘んでしまう藤川の力投なくしては、タイガースの今年の栄光はなかったはずだ。
目指せ日本一
セ･リーグでの優勝は確定的だが、問題は日本シリーズを勝てるかにある。一昨年の星野・阪神は３勝４敗でダイエーに破れ、星野をおして「福岡に忘れ物をした」と言わせた。今年は交流試合導入のお陰で、パ･リーグのチームとも一通り対戦して、相手の力も十分に分かったはずだ。相手がロッテや西武なら間違いなく勝てるだろうが、ソフトバンクは手ごわい。しかし、今年のタイガースにはDHとして満塁男・浜中がいる。また、今は不調だが、ベテラン・桧山や片岡の一振りも魅力だ。猛虎打線が稼ぎ出した貴重な得点を藤川、ウィリアムス、久保田で守りきってほしい。そして、星野の落としてきたものを岡田に拾わせてやろうではないか。頑張れタイガース！ 頑張れ球児！
